「斜め読み」とは、文章を始めから終わりまで完全に読むのではなく、主要な見出しや重要な要点に焦点を当てる速読法の一つです。
これはしばしば「テキトーな読み方」と誤解されがちですが、情報全体の概要と要点を素早くキャッチするための非常に効果的な読書方法です。
斜め読みを読書や勉強に取り入れることで、理解の速度と効率を向上させることができます。この記事では、斜め読みを取り入れた読書や勉強のメリットと、その方法を紹介します。
斜め読みとは
「デジタル大辞泉」によれば、斜め読みは「全体の流れを掴むために、細かい部分を時折スキップして素早く読む方法」です。これは文章や本の全体的な流れを理解することを目的としており、通常の「適当に読み飛ばしてしまう」方法とは根本的に異なります。
それでは、「速読」と斜め読みの違いは何でしょうか? 同様に「大辞泉」によれば、速読は通常よりも速く読むことを指します。速読の方法には、ページを一定の速度でめくり続けたり、テキストの理解速度を向上させたりするためのさまざまな方法が存在します。
したがって、斜め読みも速読の一形態であると言えるでしょう。要するに、斜め読みは速読の一部であると言えます。
斜め読みのメリット
斜め読みを読書や勉強に組み込むことで、以下の3つのメリットが期待できます。
理解が容易になる
同じ本を何度も斜め読みすることで、通常の細部から始めて時間を掛けて読むよりも、内容を理解しやすくすることができます。
教育研究所の所長である宇都出雅巳氏によれば、本の内容を理解したい場合、何度も斜め読みしながら理解しようとする方が、通常のじっくり読むよりも効率的であると説明しています。
本の内容が理解できない場合、理解に必要な前提知識が不足していることが多いため、何度もじっくり読んでも「報われない努力」となってしまうことが多いのです。
したがって、最初に斜め読みを行い、本の全体像と要点を把握し、その後で詳細な理解に取り組むことで、内容をスムーズに理解できるようになります。
参考書を使用して勉強する場合でも、最初に斜め読みを行い、その後に細部の理解に集中することが効果的でしょう。
内容を記憶しやすくする
斜め読みでは、自分が興味を持っている部分や理解できる部分だけを読むため、内容を記憶しやすくなります。
秋田総一郎氏のような著名な著者は、本を無理して最後まで読み通そうとしても、ほとんどの内容が頭に残らず、読んだ時間が無駄になることがよくあると説明しています。
本当に理解しようとして、全文を読むことがあるにもかかわらず、その結果、何も覚えていないという経験をしたことがあるでしょう。
多くの本は、最初から最後まで順に読まなくても十分に理解できるように書かれているため、斜め読みを行いながら情報を効果的に取得したいときは、有効な戦略です。
多くの文章を読むことができる
読書速度が向上することで、制限された時間内に多くの文章を読むことができるようになります。
通常の方法で一つの本をじっくり読むと、一冊を読むのに一日かかることもあり、場合によっては数日かかることさえあります。しかし、斜め読みを行うことで、気になる部分だけを素早く読むことができるため、一日で数冊の本に目を通すことも可能となります。
したがって、斜め読みを行い、時間をかけて詳細な理解が必要な本を選別することができます。
また、新聞を情報収集の手段として使用している場合、毎日すべての記事を読むことは現実的ではありません。
斜め読みを行い、特に重要な記事や興味を引く記事のみ熟読することが必要です。通常の読書方法では、時間や情報へのアクセスが制約されることが多いため、斜め読みは情報収集の効率を高め、情報を選別する助けになります。
一冊の本を詳細に理解することは大切ですが、広く浅く斜め読みを行うことにも多くのメリットがあります。
斜め読みの方法
では、斜め読みを行うための方法はどのようになるのでしょうか? 宇都出氏が開発した「高速大量回転法」を紹介しましょう。
1.目次を読む
まず、目次を読むことが重要です。目次には本の情報が要約されているため、目次を読むことで本の全体の構造を把握できます。
目次を何度か読み、著者が何を伝えようとしているのか、本の構成がどのようになっているかをしっかり理解しましょう。
2.前書きと後書きを読む
次に、前書き(序文)と後書き(後記)を読んでみましょう。目次と同様に、前書きや後書きは本の全体像を把握するのに役立ちます。
前書きにはテーマや構成に関する情報が、後書きには結論や要約が含まれていることが多いため、前書きと後書きから読書の主旨を把握できます。
3.見出しを読む
本文ページに進んで、最初に見出しに注目しましょう。見出しをパラパラと読み、理解できる部分や興味を引く部分を見つけたら、それらの部分に本文に進むことができます。
理解できない部分や興味を引かない部分は気にせずスキップしてください。
4.行き詰まったら目次に戻る
見出しや本文を読んでいて、理解が難しい場合や読書の速度が遅くなったと感じたら、目次に戻ることを考えましょう。宇都出氏によれば、このような状況は脳の「ワーキングメモリ」が限界に達していることを示すと説明しています。
ワーキングメモリは、脳が一時的に情報を保持し、処理する能力を指します。宇都出氏によれば、ワーキングメモリの容量は非常に小さく、すぐに限界に達してしまうため、情報を過度に取り入れようとせず、少しずつ情報を取り込むことが重要だと述べています。
5. 3と4を繰り返す
目次に戻った後は、再び見出しや本文の理解できる部分を見つけ、繰り返し読んでいくことで、ワーキングメモリに情報を蓄積させ、その情報が定着し、本の詳細な理解の基盤となるでしょう。
宇都出氏は、読書を「ジグソーパズル」に例えています。ジグソーパズルを解く際には、まずわかりやすい部分を見つけ、それを中心に他の部分を組み立てていきます。
同様に、斜め読みでは要点や理解できる部分を出発点とし、そこから理解を広げていくのが「高速大量回転法」という斜め読みの要点なのです。
まとめ
斜め読みは、インプットの効率と品質を向上させる方法であることが分かりました。読書や勉強の効率に不満を抱えている方は、ぜひ斜め読みに挑戦してみてください。